「何度言っても聞いてくれない…」
「どうして説明してるのに、伝わらないの?」
そんなふうに、子どもへの声かけに疲れてしまっていませんか?
こちらはちゃんと伝えているつもりでも、
返事がない・無視される・その通りに動いてくれない。
「もう限界かも…」と感じる日もありますよね。
でも実は、子どもが“聞けない”のには、ちゃんとした理由があるんです。
それは「甘やかしすぎ」や「言うことを聞かない性格」ではなく、
脳や心の“発達の途中”だからこそ起きている自然な現象なんです。
この記事では、2〜5歳の子どもが言うことを聞かない理由を、発達段階と脳の仕組みからやさしく解説します。
合わせて、“伝わりやすい声かけのコツ”も具体例つきでご紹介していますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
結論|「聞いてない」のではなく「届いていないだけ」
子どもに何度言っても反応がない、聞いてくれない…。
「ちゃんと話してるのに無視された」と感じて、ついイライラしてしまうこともありますよね。
でも実は、子どもは“聞いてない”わけではなく、“届いていない”だけかもしれません。
子どもにとって“指示”は情報が多すぎることもある
「早く靴履いて!玄関で待ってるよ!」
大人にとっては何気ないひと言でも、
子どもにとっては複数の情報や行動指示が一気に押し寄せるような感覚なんです。
言葉を聞いても、その意味を理解し、行動に移すには、まだまだ時間がかかる年齢。
“処理が追いついていない”状態なだけ、ということも少なくありません。
「ことばの理解」と「実行する力」は別物
子どもが言葉の意味をなんとなく理解していても、
それを自分の行動に落とし込む「実行機能(実行力)」は別の力です。
この“実行する力”は、脳の前頭前野と呼ばれる部分がつかさどっていますが、 未就学児ではまだまだ発達の途中。 「できない」のではなく、“できる準備中”なのです。
「聞けない=ダメ」ではなく「育ちの途中」
何度も言ってるのに…と思ってしまうのは当然。
でも、伝えた言葉が届くタイミングは“今”ではないことも多いのです。
「聞けない」「できない」と感じる場面も、
実はその子なりの“育ちの途中”のサインかもしれません。
そう思えるだけで、少し気持ちがやわらぎませんか?
このあと、もっと具体的に「聞ける力」の育ち方と脳の仕組みを見ていきましょう。
発達段階から見る“聞ける力”の育ち方
「何歳くらいになったら話をちゃんと聞けるようになるの?」 「今うちの子、言っても反応が薄いのは普通?」
そんなふうに感じること、ありますよね。
子どもが言葉を理解して、行動に移せるようになる力=“聞ける力”は、 年齢や発達の段階によって少しずつ育っていきます。
2歳前後|言葉は理解し始めるが感情が優先
この時期は、単語の意味を少しずつ理解し始める頃。
「ダメ」「おいで」「イヤ」などの言葉には反応できる子もいますが、 感情が先に立って行動が伴わないことが多いのが特徴です。
理解できても、「今はやりたくない」「興味が別のところにある」
そんな時は、行動に移せないのが自然です。
3歳〜4歳|言葉と行動の連携が少しずつついてくる
この頃になると、言われたことを理解し、行動に移す力がぐっと伸びてきます。
ただし、状況や気分によってムラがあるのもこの時期の特徴です。
「昨日はできたのに、今日はできない」
そんな波があるのが、むしろ“発達が順調な証”とも言えます。
5歳以降|自己コントロール力が育ち始める時期
5歳ごろから、言葉の意味・理由・結果の見通しが少しずつ結びつくようになります。
感情のコントロールや「今は我慢する」といった自己調整力が芽生えはじめる時期です。
とはいえ、まだまだ言葉だけで完全に理解・実行するのは難しいのが普通です。
でも“その日その時の状態”でムラがあるのが普通!
お腹がすいているとき、眠たいとき、刺激が多すぎた日…。
どんなに発達が進んでいても、子どもの“脳の余裕”は日によって大きく左右されます。
「ちゃんと聞ける子」ではなく、
“聞けるタイミングの波”があるのが自然なんだと、やさしく見守っていけるといいですね。
脳の仕組みから見る「聞けない理由」
子どもが「聞いてない」「無視してる」ように見えても、
実は脳の発達的に“今すぐ対応するのが難しい状態”なことが多いのです。
ここでは、行動の背景にある「脳の働き」を、やさしく説明していきます。
「前頭前野」はまだ未発達=気持ちを切り替えるのが難しい
前頭前野(ぜんとうぜんや)という脳の部分は、
感情をコントロールしたり、注意を切り替えたりする役割があります。
でもこの部分、子どもでは未発達で、大人のようにスムーズに働きません。
たとえば、「遊びをやめてごはんにする」などの切り替えは、 まだまだ難しいのがふつうなんです。
「感情」→「論理」の順でしか処理できない構造
子どもの脳はまず感情を処理してからでないと、言葉の意味や理由が入ってこない構造になっています。
つまり、「今イヤ!」という気持ちが強いと、
その感情が落ち着くまで、こちらの声は“聞こえていても届かない”状態になります。
気持ちを認めてから伝えることで、言葉が入りやすくなるのはこのためです。
イライラしてると“音”しか届かないこともある
「ちゃんと説明してるのに…」と思っても、
子どもが興奮状態・不機嫌・疲れているときは、 そもそも言葉として処理する余裕がありません。
この状態では、話しかけた声が“ただの音”として流れていってしまうこともあるのです。
そんなときは、まずは落ち着ける環境・雰囲気を整えてから声をかけるほうが、ずっと届きやすくなりますよ。
今日からできる!伝わりやすくなる声かけのコツ
子どもの発達や脳の仕組みを知っても、
「じゃあどうすれば伝わるの?」と迷ってしまうこともありますよね。
ここでは、“今の子どもに届きやすい声かけ”のコツを、具体例とともにご紹介します。
「短く・具体的に・1つずつ」伝える
子どもは長い説明や複数の指示を同時に処理するのが苦手です。
大人が思っている以上に、「何をすればいいか」がぼんやりしてしまうことも。
✔ NG例:「ごはんだから手洗って、椅子に座って、いただきますしてね!」 ✔ OK例:「手を洗おう」「椅子に座ろう」「いただきますしよう」…1つずつ、順番に。
視覚(目)と聴覚(耳)をセットで使う
言葉だけで伝えるより、指差し・ジェスチャー・表情などをセットにすると、 ぐっと伝わりやすくなります。
たとえば、絵カードやイラストつきの予定表を使うのもおすすめです。
「見る」と「聞く」の両方から伝えることで、記憶にも残りやすくなります。
「ダメ!」より「こうしてほしい」を伝える
「走っちゃダメ!」「触らないで!」という否定形は、
“何をしてほしいか”が曖昧になりがちです。
✔ NG例:「走らない!」 ✔ OK例:「歩こうね」「手をつないで歩こう」 → 代わりにしてほしい行動を“ポジティブな形”で伝えましょう。
まず共感→落ち着いてから言葉をかける
泣いている・怒っている・イヤイヤ中など、感情が高ぶっているときは言葉が届きません。
そんなときはまず、「イヤだったね」「悲しかったね」と気持ちに共感する一言を。
その後、落ち着いてから「どうしようか?」と声をかけるだけで、反応が変わってくることもあります。
「伝わらない…」と悩んだときこそ、伝え方をやさしく変えてみるチャンスです。
「聞かない=甘やかしすぎた?」と悩んでいるママ・パパへ
「こんなに言ってるのに聞かないなんて、
もしかして甘やかしすぎたのかな…」
「育て方が間違ってたのかも」と、ふと不安になること、ありませんか?
でも安心してください。 子どもが言うことを聞かないのは、しつけの問題ではなく“発達の過程”です。
「わざとじゃない」からこそ、根気が必要
子どもが同じことを何度も繰り返すと、
「わざとやってるの?」「こっちを試してるの?」と思いたくなるときもありますよね。
でも多くの場合、それは“まだ理解しきれていない・コントロールできていない”だけ。
大人から見ると“わざと”に見える行動も、実は脳や心の成長途中にある自然な行動なんです。
「育ちの途中」と知るだけで接し方が変わる
「できないのは、発達の段階として自然なことなんだ」
そう知っているだけで、子どもに対する声かけや接し方が、少しやさしくなれることもあります。
叱ることが悪いわけではありません。
でも「どうしてわかってくれないの?」とイライラしたとき、 「この子は今、育ちの途中なんだ」と思い出せたら、少しだけ気持ちがやわらぎます。
感情をぶつけそうになったら、まず深呼吸を
どんなに気をつけていても、育児中はどうしてもイライラしてしまう瞬間があります。
大事なのは「怒らないこと」ではなく、「怒る前に自分を整える時間をつくること」。
- 深呼吸を3回してみる
- 少しだけその場を離れてみる
- 目を閉じて、自分にも「大丈夫」と言ってあげる
そんな小さな行動が、親子の関係をやわらかく守ってくれます。
育児は「うまくやること」ではなく、「向き合い続けること」。
聞かない日があっても大丈夫。あなたは、ちゃんとやってますよ。
まとめ|ことばは“届くまでに時間がかかる”もの
「何度言っても聞かない…」「どうして伝わらないの?」
子育てをしていると、そんな思いが何度も湧いてきますよね。
でも、子どもにとって“ことばが届く”までには、時間がかかるのが自然なこと。
言葉を理解する力・実行する力・感情を整理する力は、ゆっくり、少しずつ育っていくのです。
この記事でお伝えした大切なポイントを振り返ります。
- 「聞いてない」のではなく、「まだ届いていないだけ」
- 年齢や気分によって“聞ける力”にはムラがある
- 脳の仕組みとして、感情が落ち着くまで言葉は入ってこない
- 伝わりやすくするには、伝え方・タイミングの工夫が効果的
- 「聞かない=甘やかしすぎ」ではなく、成長の途中というだけ
言葉は、かならず届きます。
でも、それが“今この瞬間”じゃないこともある。
数日後、数週間後、ふとしたときに「ママの言葉」が子どもの中に残っていることも。
焦らなくて大丈夫。 ゆっくり育っていく力を信じて、今日もあなたの声を届けてあげてくださいね。
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